「えーっと、水瀬ちゃんから色々聞いたけど、大変だったね」
「えっ?水瀬のやつ他のクラスにも言って回ってんのかよ〜、困ったもんだなー」
「いや、言って回ってるって言うより世那に説教しに来てたよ。"友達の好きな子を奪うな"って」
私の言葉に甲斐君はキョトンとした顔になりながらもすぐに不器用そうに口元を緩ませた。
「ぅええ…?今回は世那は悪くないんだけどなぁ…はは…はーあ…………」
甲斐君は嬉しそうにはにかんだかと思えば、途端に深刻そうな顔になった。
コロコロと感情が変わる日みたいだ。
「深刻そうな顔してるけど……どうしたの……?」
「……いや、俺ってつくづく世那には必要のない存在だよな」
「これまたいきなり……」
「前から思ってたことなんだよ。世那が喜ぶ顔が見たいなーって思って、やることなすこと全部裏目に出るんだ」
「世那は特別気分屋だから難しいんだよ、だからそんなに思い詰めなくても…」
「今回の件だって、俺は須藤の為に、世那の為にってやっただけなのに、ぜーんぶ裏目に出ちまった。俺は二人に相応しくないんだ」
こんなに暗い甲斐君は見たことない。
確かに、甲斐君のした事は間違いなく余計なことではあったけど、そこに悪意が無いのであれば世那は許してくれると思うんだけどなぁ。



