「……っ」
声にならない息が漏れる。
ハルくんの近さに、頭が真っ白になる。
抗えない。逃げられない。
でも――嫌じゃない。
唇を離したハルくんの瞳は、冷たさと熱さが入り混じっていて、私を試すように見つめていた。
「……これで、別れる理由できた?」
低い声が、胸の奥に突き刺さる。
「い、意味分かんないよハルくん…明日、どういう顔で会いに行けばいいの…」
「なんでもない顔して、会いに行けば?」
にっこりと。意地悪な笑顔。
なにがしたいの…ハルくんは。
それにハルくんは、知らないと思うけど。
私、ファーストキスだったんだよ。
今まで彼氏3人いるから、もう経験済みだと思ってたでしょ。
そういう雰囲気になったことはもちろんあったよ。
でも、できなかった。怖かったから。嫌だったの。
――好きじゃなかったから。
「…ハルくんのバカ!」
ドンッと押して、部屋を飛び出した。



