【完】ハルくんの、かくしごと。




チラッとハルくんの顔色を伺う。

普通。真顔。仏頂面。



「…また、夜決めよ?電話かけるし…」


「わかったよ。気をつけて帰ってね」



柳くんはそう言って、手を振った。

ハルくん、一応わたしのこと待っててくれてたみたいだけど。

さっきまで普通だと思ったのに、今は明らかに不機嫌だ。

まずい。 だって、歩く速度あがってるもん。私、早歩きだよ。



「ハルくん、ちょっと速い…」



声をかけても、返事はない。



「…ハルくんっ、待って」



足長い。ずるいっ。

爆速でローファーに履き替える。 置いて行かれないように。



「ハルくんっ!」



呼んでも、スピードを落としそうにない。



「は、ハル…」



ほんの少しの段差につまずいた。


あ、やばい、転ぶ!


ぎゅっと目を瞑るも、衝撃はやってこない。

ポスっと軽く何かにあたって――恐る恐る目をあけると、制服。赤いネクタイ。

目の前に、ハルくん。

片腕で私を支えていて、顔が近い。