「まだ、そんなこと言ってんの?こんなに独占欲丸出しにしといて? それで、俺には彼女作るなって?」
ハルくん、立ち上がって制服をハンガーにかけ始める。
「意味分かんねー」ってぶつぶつ言いながら。
正直、ハルくんの言っていることが難しくてよく分からない。
なんせ、恋愛に関しては全くの無知。
あれだけ少女漫画読んどいて、彼氏も今までいたのに―― 恋をしたことがない。
なにが“好き”ってことなのか、いまいち分からない。
だから、ハルくんに教えてもらおうと思う。
「ハルくん、彼女いるんでしょ。好きってどんな感じなの?」
そう聞いた瞬間、ズキッと少しだけ胸が痛んだ。
でも、その胸の痛みの理由も私には分からない。
ハルくんは制服をかけ終えて、振り返る。
視線が鋭くて、でもどこか揺れている。
「……お前が聞くなよ、そんなこと」
低い声。 怒っているようで、苦しそうで。
ハルくんは制服をハンガーにかけ終えると、また私の前にしゃがみ込んだ。
「ぎゅーしたら分かるよ」
そう言って、両手を広げる。
さっきまであんなに嫌そうだったのに、急に?
そして、私の質問は?
なんか上手いことはぐらかされた気がするけど、まあいいや。
ハルくんの胸に飛び込むと、後ろに倒れた。
「おっまえ…考えろよ!」
ぎゅっと頭を胸に押しつけられながら、上からハルくんの怒った声がする。
ガミガミ言ってるけど、気にしない。
だって、ハルくんの胸の中はあったかい。
それだけで、涙も不安も少しずつ溶けていく。



