【完】ハルくんの、かくしごと。




沈黙が重い。

言葉がないだけで、空気が張り詰めていく。

“仲直りのぎゅー” ただそれだけなのに、答えが返ってこない。

ハルくんの肩がわずかに揺れている。

ため息なのか、迷っているのか。

顔を隠した手の隙間から、ほんの少しだけ震えが伝わってくる。



「彼氏できても、いちばんはハルくんだよ」



最低。酷いことを言ってる自覚は十分ある。



「ハルくんはそんなに私のこと想ってないかもしれないけど… 今まで通り、隣にいてほしいな」



私たちって、恋人とかそんな薄っぺらいものじゃないでしょ? 17年間ずっと一緒にいて、家族みたいなものだよね?



「ハルくん、ぎゅーしよ。 ハルくんとぎゅーしたら、落ち着くの」



ハルくん、手の隙間から私をチラリ。

「はぁー」 目を瞑りながら、深いため息。

ため息ばっかり。今度から、私といるときのため息の数、かぞえてやろう。



「彼氏と別れないの?」



ハルくん、手を下げて膝に頬杖をついてそう言った。


彼氏と別れるって…?



「俺がいちばんとか言っときながら他に男作るのかよ」

「…。」



…ハルくんの言っていることがよく分からない。



「私の優先順位はハルくんがいちばんだけど、 ハルくんに恋愛感情があるわけじゃないもん」



コテンと首を傾げながら言うと、またため息。

さっきから数え始めたから、2回目ね。