【完】ハルくんの、かくしごと。




「お前は、なんで泣いてんの?」



なんでって…。


ハルくんは、私の頬に触れる。

流れる涙を、親指ですくいとる。



「なぁ。なんで、それで俺のこと好きじゃないの?」

「………え?」



ボソッと呟いたハルくん。全部は聞き取れなかった。


ハルくんの表情は、歪んでいて、苦しそうで、 唇を噛みしめている。

その顔を見た瞬間、胸が締め付けられる。



「なぁ、どういうつもりで泣いてんだよ」



右耳に触れるハルくんの熱い手。



「どうもなにも…ハルくんにとっての私はどうでもいい存在なのかなと思ったら…」



じわり。
また、涙が込み上げてくる。


やだ、もう。

チラッと顔をあげると、 ハルくんはまた苦しそうな顔をしていた。


どうして? なんで、ハルくんがそんな顔するの?



「ほんと、いい加減にしろよお前」

「…っ、」



なぜか、泣きそうな顔のハルくんに胸が痛む。

ハルくんは、私の頬から手を離して、ぐっと握り拳を作った。



「お前が!彼氏を作るたびに俺がどれだけっ…」



言葉の途中で、ハルくんは唇を噛みしめた。

拳を握りしめたまま、視線を逸らす。

その顔は怒っているようで、でも苦しそうで。

初めて見るハルくんだった。



「……ハルくん?」



思わず声が漏れる。

胸が痛い。

なぜか、泣きそうな顔のハルくんを見ると、 私まで苦しくなる。

どうしてそんな顔するの?

なんで怒ってるのに、泣きそうなの?