「…ハルくんが、ぴったりだね」
そう言った瞬間、紗里衣ちゃんが「げ」って。
変な顔。口が曲がってる。
「人のものとる趣味ないから」
「紗里衣ちゃん、何言ってるの。ハルくんは、私のじゃないよ」
「…。」
紗里衣ちゃん、沈黙。変な空気が流れる。
そして、ため息。
「…千秋、幼なじみは彼女いるんでしょ」
――“彼女”
その言葉に、思わずガタッと机を大きく揺らして飛び起きる。
心臓がドクンと跳ねる。
耳の奥で「彼女」という言葉が何度も反響して、頭が真っ白になる。
「あ…はは…そうだったね~」
誤魔化すように笑う私を見て、紗里衣ちゃんは呆れ顔。
ごめんね、紗里衣ちゃん。 私としたことが忘れてたよ。
そうだった、ハルくんには彼女いるんだった。
あの、小柄で可愛い彼女がね。
「…はは…は、は…」
…上手く笑えない。
ズキッと痛い心臓らへん。



