思わず笑ってしまう。
「それ、漫画の主人公じゃん」って言いたくなるくらい完璧な条件。
「紗里衣ちゃんに紹介できるような人脈を私は持ってないな~」
「期待してないから大丈夫」
紗里衣ちゃんの理想は、絶対少女漫画のせいで高くなったんだと思う。
黒髪で、背が高くて、筋肉質で、顔が綺麗で、頭がよくて、運動もできて、優しいけどクールで、私のわがまま聞いてくれて、電話一本で飛んでくるような男の子――。
ね~…。そんな男の子、現実にいるのかな。
「……まって、一人思い当たる人いるよ」
頭に浮かぶのは――サラサラの黒髪。
私よりも頭一個分以上高い背丈。
筋肉質な体。
顔にひとつもホクロがなくて、肌荒れもしてなくて、俳優さんみたいに綺麗な横顔。
頭も学年トップクラスで、運動神経もいい。
口は悪いけど、なんだかんだ優しくて、いつもわがままを聞いてくれる。
電話をかけたら、絶対に飛んできてくれる。
夜中でも、絶対に。



