【完】ハルくんの、かくしごと。




柳くんはいつも私を教室まで送ってくれる。

柳くんのクラスは私のクラスよりも手前なのに。



「櫻井、放課後迎えに行くから」

「うん、待ってるね」



そんなことしなくていいのにな…と思いながら、柳くんに手を振って笑う。


柳くんが去ってから、小さくため息。


柳くんは優しい。ちゃんと彼氏として私を大事にしてくれる。


教室に入ると、紗里衣ちゃんとばっちり目が合って、にんまり笑われる。



「いつも一緒にいるじゃん~」

「…紗里衣ちゃん、おはよ」



紗里衣ちゃん、普段はからかってこないのに。


机に置いてある漫画は、いつもの少女漫画じゃなくて少年漫画。珍しい。



「紗里衣ちゃん、キュンキュンは一旦やめたの?」



そう聞くと、紗里衣ちゃんは漫画をチラッと見て「あぁ」と言いながら表紙を私に見せてくる。

表紙には、バトルものらしい迫力ある絵。

普段の紗里衣ちゃんからは想像できない選択に、思わず目を丸くする。