【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




やっちゃったな、と思った瞬間。

突然、グイッと。

繋がれた左手を引っ張られる。

ハルくんと入れ替わった場所。

後ろには扉。前には、ハルくんのネクタイ。

少し赤くなったシャツ。

繋いでいた手を、パッと離される。

むっとした顔で、見上げる私。



「もう、いいだろ」



面倒くさそうな、しかめっ面。

いつも、この顔。

もう少し、優しい顔してよ。

でも、もう何年もこれだから。

言うタイミングなんて、ずっと前に逃がした。



佐々木遥(ささきはるか)

通称、ハルくん。

私の隣に生息する――幼なじみ。

中2までは、よく笑いあってた気がする。

でも、もう2年以上前からは、この顔がスタンダード。

しかめっ面。

眉間に皺を寄せる。それも、私の前でだけ。

いつから、こうなったのか。 もう覚えていない。

ほんとに急だった気がする。

わけが分からないまま、 私に対する口調も強くなっていって。

ハルくんから、 私に触れてくることもなくなった。