…赤色のネクタイ。 緩める右手。 浮かび上がる血管。 覗く鎖骨。 色気。 艶やか。 ――ハルくん。 冷たい目。 低い声。 大きな手。 優しい背中。 記憶がふっと蘇って、胸がざわつく。 「櫻井?」 柳くんに名前を呼ばれて、ハッと我に返る。 「な、なに?」 ニコって笑って、いつも通り。大丈夫。 「ネクタイ直ったかな?」 「うん!直ってる」 大丈夫。 ハルくんがいなくても、大丈夫。