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「それで?また、断れなかったんだ?」
「……。」
「何回目ですか?千秋さん」
柳くんと付き合うことになって、まだ5分。
別れて教室に戻って、紗里衣ちゃんに全部を話した。
私は、紗里衣ちゃんの勲章の少女漫画を読みながら、半分呆れたように問いかけてくる紗里衣ちゃんをチラリ。
返事をせず、ページをめくる音に紛れて聞こえないフリ。
「もう10人目とかになるんじゃない?」
「そんなに多くないよっ。3人目だよっ!」
あ。咄嗟に反抗してしまった。
だって紗里衣ちゃん、7人も多めに言うんだもん。
紗里衣ちゃんは、ため息をついて私が読んでいる漫画を取り上げた。
「えっ、紗里衣ちゃん?」
パタン、と閉じられた音がやけに大きく響く。
「千秋、いい加減にしなよ」
紗里衣ちゃんの声は、いつもより低くて真剣。
私は口を尖らせて、机の上に置かれた漫画をちらりと見る。



