【完】ハルくんの、かくしごと。




「ず、ずっと好きでした!付き合ってくださいっ!」



昼休み、校舎裏。人気のない場所で二人きり。

目の前には、頭を下げて右手を差し出している(やなぎ)くん。

去年同じクラスでよく喋った、数少ない男友達。



「…えっと」



男友達だよ、柳くん。



「柳くんのこと、そういう風に見たことなかったというか…」



できるだけ傷つけたくない。

言葉を選びながら、ゆっくりと伝える。

柳くんの手は宙に浮いたまま、少しだけ震えている。

柳くんは顔をあげて、手を引っ込める。



「それは感じてたけど…でも、お試しでいいから付き合ってみない? 好きになれそうになかったら速攻振ってもらって構わないから!」



パチン!顔の前でお願いポーズ。


…困った。
傷つけたくないと言いながら、こういうの断れないタイプ。


心臓がドクンと跳ねる。「お試し」なんて言葉に、余計に迷ってしまう。

断れば柳くんを傷つける。でも、頷けば自分の気持ちに嘘をつくことになる。