【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




「ハルくん、髪乾かしてっ」



胸まである長い髪は、乾かすのに相当な労力がいる。ドライヤーは重いし、腕も疲れる。

ハルくんは舌打ちしながらも、ドライヤーを受け取ってくれた。

嬉しくなって、笑いながらハルくんの前へ。カーペットに体育座り。

濡れた髪に、ハルくんの手が触れる。その感触が、気持ちいい。



「ハルくん、乾かすの上手だねぇ。美容師向いてるんじゃない?」

「終始無言の美容師なんていねーだろ」



それは確かに。

ハルくんはかっこいいのに、無口だから。

ドライヤーの音と、ハルくんの手の動き。

それだけで、怖さも不安も、少しずつ消えていった。



「でもハルくん、モテるよね」



そう言った瞬間、髪を触っていたハルくんの手がピタッと止まる。

空気が一瞬で変わる。
ドライヤーの音だけが、間抜けに鳴り続けていた。