チラッとハルくんを見上げる。 全然怖そうじゃない。
その落ち着いた横顔に、余計にしがみつきたくなる。
ぎゅっと力を入れて腕に抱きつく。
「は、ハルくん…怖い」
震える声でそう言う。
ハルくんはテーブルに置いてあるリモコンを手に取る。
「見るのやめる?」
ぶんぶんと横に首を振る。
見たくないけど、見ちゃう。この気持ち、分かるよね。
ハルくんは私の様子を見て、ため息をつく。
それでも「わかった」と言ってくれる。
腕を振り払われるかなと思ったけど、振り払われない。
そのまま、映画の音だけが部屋に響いて。
心臓の音は、私の中でひとり大きく鳴っていた。
くっついたついでに、腕に顔を埋めてみる。
ハルくんの匂い。爽やかで、優しくて、柔軟剤の香り。
その瞬間、急にバッと腕を振り払われた。
「え…」
「“え”じゃねーよ。嗅ぐな」
ば、ばれてた。
でも、酷い。怖いって言ってるのに。
「もう嗅がないからっ!」
「無理。見るのやめよ」
そう言って、ハルくんは今度は本当に停止ボタンを押す。 画面が止まる。
タイミングよく、幽霊が写っている場面で。



