「…測ろうね」
そう言うと、ハルくんはうっすら目を開けて、こくんと頷いた。かわいい。
お腹の方から手を入れて、脇へ。
ごめんね、ハルくん。不可抗力だよ。ハルくんのためだから。お腹に手入れるくらい許してね。
ピピッと体温計が鳴る。 数字を見てみると――上がってる。
これは、大変。やっぱり、病院行かないと。
そう思って、ハルくんから離れようとした瞬間、グッと引き寄せられる。
胸がぎゅっと押し付けられて、息が苦しくなる。
「ハルくん、体熱すぎる…」
熱のせいで、抱きしめる力も強い。弱っているはずなのに、離してくれない。
「ハルくん、病院行こ」
「やだ。ちあに移して、俺は治す」
もう、何言ってるの。
そう思った瞬間、頭のほうからすーすーと寝息が聞こえてきた。今度こそ、ほんとに寝たのかもしれない。
それでも、私を抱きしめる力は強い。離れることができず、あきらめた。
まあ、嬉しいし。たとえ風邪が移ったとしても、ハルくんが看病してくれるなら――許してあげよう。
布団の中で、互いの呼吸が重なる。
熱のせいで汗ばんだ体温が、私の胸までじんわり伝わってくる。苦しいはずなのに、安心する。
「…ハルくん」
小さく名前を呼んでみる。返事はない。でも、抱きしめる腕が答えみたいに強くて、心臓がまた跳ねた。



