【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




「…測ろうね」



そう言うと、ハルくんはうっすら目を開けて、こくんと頷いた。かわいい。


お腹の方から手を入れて、脇へ。
ごめんね、ハルくん。不可抗力だよ。ハルくんのためだから。お腹に手入れるくらい許してね。

ピピッと体温計が鳴る。 数字を見てみると――上がってる。

これは、大変。やっぱり、病院行かないと。

そう思って、ハルくんから離れようとした瞬間、グッと引き寄せられる。
胸がぎゅっと押し付けられて、息が苦しくなる。



「ハルくん、体熱すぎる…」



熱のせいで、抱きしめる力も強い。弱っているはずなのに、離してくれない。



「ハルくん、病院行こ」

「やだ。ちあに移して、俺は治す」



もう、何言ってるの。
そう思った瞬間、頭のほうからすーすーと寝息が聞こえてきた。今度こそ、ほんとに寝たのかもしれない。

それでも、私を抱きしめる力は強い。離れることができず、あきらめた。
まあ、嬉しいし。たとえ風邪が移ったとしても、ハルくんが看病してくれるなら――許してあげよう。


布団の中で、互いの呼吸が重なる。
熱のせいで汗ばんだ体温が、私の胸までじんわり伝わってくる。苦しいはずなのに、安心する。



「…ハルくん」



小さく名前を呼んでみる。返事はない。でも、抱きしめる腕が答えみたいに強くて、心臓がまた跳ねた。