夢を見た。ハルくんが、ずっと手を繋いでくれて、二人で笑っている夢。
目を開けて時計を見ると、もう十時。昨日は泣き疲れて、ぐっすり眠ってしまったんだと思う。
ハルくんは、お母さんたちが帰ってくるまで、ずっとぎゅっとしてくれていた。まだ完全に怖さは消えていないけど、だいぶ和らいだ。
やっぱり、ハルくんの隣にいたい。私は、ハルくんが好き。
でも――今日から、普通の幼なじみに戻る、とも言った。
普通の幼なじみは、手を繋ぐことも、ぎゅーすることも、キスすることも、一緒に寝ることもない。
…でも、遊びに行くくらいなら普通だよね?
ハルくん、今、何してるかな。起きてるかな。
腫れた目のまま、鏡を見て外に出る準備。お隣さんだけど、やっぱり可愛くしていたい。
玄関を開けると、昨日よりも寒い空気が頬を刺す。地面は凍っていて、白く光っている。 転ばないように、足元を確かめながら、ゆっくり歩く。
チャイムを押そうとしたけど、ドアが開いていたから、勝手に入った。今日はまだ金曜日。両親はきっと仕事に出ているはず。
「ハルく~ん」
少し大きな声を出してみたけど、返事はない。
鍵が開いていたし、いるはずだよね? そう思いながら、リビングをちらりと覗く。 誰もいない。
――部屋かな。
ゆっくり階段を上がる。走らずにね。



