【完】ハルくんの、かくしごと。




リビングを出るとき、背中に突き刺さるような声が響いた。



「佐々木も言ってたけど、のこのこ付いてきたらだめだよ」

「…っ、」

「それは、佐々木の家も例外じゃないからね」



…荻原くんなんかに、ハルくんの何が分かるって言うの。



「…私は、ハルくんが相手だったら、いいの」



震える声で、それだけ言った。

玄関の扉を乱暴に開けて、冷たい空気に飛び出す。

駅まで、無我夢中に走った。

雪が少しずつ溶けていて、足元は重く、靴の中まで冷たさが染み込んでくる。

でも、走った。何も考えたくなくて、思い出したくなくて。


駅に着いて、ようやく足を止める。乱れる息を整えようとしても、胸の奥はまだざわついたまま。



そして――目に入った。


たくさんの人が行き交う中で、その人だけが、どうしても私には輝いて見える。

いつも真っすぐに、視界に入ってくる。