【完】ハルくんの、かくしごと。




泣いたって、どうしようもない。泣き顔を見せたくない。

私はいつも、ハルくんが助けてくれるかもって、そう思って涙を流していた。

でも――ハルくんがいなくなって、一人になった今。絶対に泣きたくなかった。泣いたら、もう立ち上がれなくなる気がした。

優しいあの人に、迷惑をかけたくなかった。
これ以上、私のことを嫌いになってほしくなかった。



「…か、える。もう、会わない」



震える声でそう言った。



「えー。友達じゃないの?」



軽い調子で返す荻原くん。



「荻原くんの中の友達と、私の友達は…価値観が違うみたい。もう、絶対に会わない。学校で会っても、知らないフリをする」

「いいよ、別に。俺は、話かけるけどね」



どうにもできなかった、この男。私の言葉なんて、何ひとつ届いていない。

立ち上がって、荷物を持って、上着を着る。
その間、荻原くんはひとつも動かずに、ただ笑っていただけ。

ムカつく。