【完】ハルくんの、かくしごと。




「ハルくんっ……あい、たいっ……ハル、くんが、いいっ……」

「…うん、そうだね」



気づいたら、もう止められなくて。

目の前にいる人が、自分が振った相手だとか、そんなのもう考える余裕なんてなかった。



「や、なぎくんのいう通り、鈍感でっ……全然大事にできてなくてっ……最低だけどっ……でも、やっぱりわ、たし……」



私、どうしても、ハルくんがいいんだ。

幸せでいてほしいと思いながらも、そこに私がいれたら――うれしい。


ハルくんは、きっと、もう……私のこと忘れてるかもしれない。私のこと、どうでもいいかもしれない。

気づくのが、遅すぎた。全てが遅くて、もうだめだった。

ハルくんといた時間は戻らない。


すべてが過去になってしまったのに――。

それでも、覚えている。

優しい手も、あったかい大きな背中も、私なんて軽く包み込める胸も、あの、大好きな匂いも。

全部、しっかり覚えてる。

消えてほしいなんて、何十回も何百回も思った。

その度に、ひとりで静かに泣いた。

でも、ずっと消えない。 こんなの、消せるわけがなかったんだ。