「は、ハルくんなんて、いつも女の子連れ込んでっ…」
「一緒にいたらドキドキする?」
「ドキドキよりも、安心というか……この時間が続けばいいのになって、」
「……うん」
「手を繋いでるとき、ぎゅってしたらその倍ぎゅってしてくれて、」
「……うん」
「私が知らなくてもいいから、私がいなくてもいいから……どこにいても、幸せで、いてほしいの……私なんかのこと、忘れて、ずっと、……」
17年。
あまりにも長い時間。
一緒にいた、一緒にいすぎて、気付けなかった。
それを、“恋”と呼ぶには、あまりにも日常だった。
ハルくんの幸せを願うなんて、あまりにも当たり前だった。
ドキドキする瞬間はあった。
嫉妬したことも、何度もあった。
でも、それ以上に――ハルくんの隣にただいるだけで安心できた。
「好き」という言葉に閉じ込めるには、あまりにも大きすぎて、深すぎて、当たり前すぎる。
「愛、だな、それは」
「…あ、い?」
「うん。愛だよ、櫻井」
柳くんのぽつり、呟いた言葉。
その一言が、胸に落ちて、動けなくなった。
恋と愛の境目なんて、考えたこともなかった。
でも、柳くんの言葉で、はっきりと見えてしまった。
私がハルくんに抱いていたものは、ただの「好き」じゃなかった。



