「……千秋は、ほんとにそれでいいの?」
紗里衣ちゃんが、ポッキーを食べながらも真剣にそう聞いてくる。
「それでいいって、なに? 紗里衣ちゃんは、私と荻原くんのことお似合いだって言ってたよね? 夏休み、ハルくんのことなんて一切考えなかったよ…! ずっと荻原くんといたし、荻原くんのこと好きだもんっ…」
はあ、はあ、と息が乱れる。声が震えて、言葉が自分に跳ね返ってくる。まるで、自分自身に言い聞かせているみたいに。
紗里衣ちゃんは、ポッキーを口にくわえたまま、じっと私を見ていた。その視線が、やけに重い。
「……千秋」
私は、荻原くんのことが好き。
そう言ったはずなのに、心の奥で別の名前がちらついてしまう。
紗里衣ちゃんに、声を荒げてしまった。周りは気づいてないらしくて、まだ助かった。
紗里衣ちゃんは、そんな私に少し驚きながらも、淡々と話し始めた。
「荻原くんがお似合いだとは言ったけど、それだけだよ。一番は、千秋の気持ちが大事なんだから。千秋は、ほんとに荻原くんが好き? 荻原くんと一緒にいたいって思うの? 幼なじみと会えなくなって、ほんとに寂しくない?」
「……だ、って……」
さみしいって。 ほんとは、ハルくんといたいって。それを言って、どうなるの。
言葉にした瞬間、全部が戻れなくなる気がする。



