「千秋ちゃん、考えごと?」
荻原くんは、すぐに見抜く。私のこと。こういうところも、ハルくんとは違う。
不器用で、ずっと一緒にいるのに、私が何を考えているのか全く分かっていない――それがハルくん。
「千秋ちゃん、佐々木のこと考えてるでしょ」
「……なんで?」
「わかるんだなー、俺」
気付いてほしくないところまで、気づくの、やめて。
「荻原くん、私が荻原くんのこと好きになったら彼女にしてくれるんだよね?」
赤信号。止まって、車を見送る。今日は、人が多い。暑い。でも私は、この暑い夏が好きだった。
私の手をぎゅっと握って、耳元でそっと。
「いいよ。俺のこと、好きになった?」
好きになったというか、なりかけているというか。
でも――いいよ、というくせに、荻原くんはたぶん、私のことを大切にしてくれない。
「わ、たし……は……私を大切に、してくれる人がいい」
全然素直じゃないし、いつも仏頂面。不器用だけど、すごく真面目。
課題は、夏休みが始まって1週間のうちに多分やりきる。
口が悪くて、何を考えているのかも分からないし、言わないと分かってくれない。
でも、誰よりも、私のことを大切にしてくれた。私のこと、ずっと見捨てないでくれた。



