【完】ハルくんの、かくしごと。




「千秋ちゃん、今日暇?遊ばない?」 荻原くんからのラインが、ちょうどよく届いていた。

お母さん、私はそろそろ外の空気を吸うことにするよ。

「いいよ」と素っ気ない返信をして、ベッドから起き上がる。



「はぁ…」



ため息が漏れる。

気分は上がらない。 夏は好きなのに。

こんなの、夏じゃない。

メイクをしても、気分が乗らない。むしろ、今日の顔がひどい気がする。「こんな顔だったっけ?」ってくらい。

今日のメイク、似合ってない。もう一回やり直したい。でも、そんな時間はない。

さっき荻原くんから届いたライン。

「駅で待ってるね。ゆっくり来て~」 ということは、もうすでにいるってことだ。

ため息がつきそうになって、必死にこらえる。 よくない、こういうの。 失礼だし。



妥協しながら準備をして、家を出る。

左を向くと、ハルくんのお家。車がない。もしかしたら、みんなでお出かけでもしてるのかも。



「……行こう」



見てない。 ハルくんのことなんか、気にならない。ただの、お隣さん。それだけ。