「あんまり、ダサいことしないでよね」
「もう、関わんないから。好きにしろよ」
「張り合いないね、佐々木。それか、どうせまた別れるとか思ってんの?」
「…は、」
「キスしたくらいで、別れるわけないじゃん」
こいつ、やっぱり。ちあのこと、一ミリも好きじゃない。
でも、こいつを選んだのは、ちあ本人。俺が、とやかく言うことではない。
第一、俺はもう、ちあと関わりたくない。
勝手にすればいい。
「佐々木は、そこで黙って見物してて。 千秋ちゃんは、きっと俺のこと好きになるよ」
ひらひらと手を振って、教室を出て行った荻原。
残された空気が重くて、息が詰まる。
グッと拳を握りしめる。
爪が掌に食い込んで、痛みが少しだけ冷静さを取り戻させる。
ずっと、疲れてる。 あの日から、ずっと痛い。
心臓の奥に、鈍い痛みが居座っている。何をしても消えない。



