キスしたからと言って、俺のことを意識するなんて絶対にない。
ちあは、そういう女だから。
いっそのこと嫌われたいのに――。
『ハルくんっ…もうっ…やめるからっ…! 許可なく、触れたり、しないし…そういうことも言わないからっ…』
あの日、涙をためてそう言ったちあ。
心のどこかで、キスしたら―― 俺のこと好きだって気づいてくれるかも、なんて思ってたんだと思う。
ちあは、俺のことが好きなはず。
ただ、それに気づいてないだけ。
だっておかしいだろ。
どう見ても、普通の幼なじみの距離じゃない。
なんで、これでこいつは俺のこと好きじゃないの?
たぶん、どこかで間違えた。
ちあは、きっと最初から俺のことなんて好きじゃなくて。
ほんとに、ただ純粋に「家族」とか、そういう類のもので見てたんだ。
いつまでも幼なじみでいようとするちあが、ほんとに嫌で仕方なくて、憎くて。
ようやく、終われるかもって思った。
最後に、傷ついた顔も見れて満足した。
次の日からは、ちあのことを好きになる前の自分に戻ろう。忘れよう、全部。
そう思って、完全に気持ちに蓋をした。
朝は「おはよ」って声をかけるし、どうでもいい会話だってするし、中学生の頃に戻ったみたいにケラケラ笑う。
大丈夫。ちゃんと、幼なじみ出来てる。
そう、思った。
―― そう、思ったはずなのに。



