「遥くんて、なんでシてるとき、いつも目瞑るの?」
「…。」
シてるっていうのは、多分本来恋人同士がするような行為のことを指してるんだろう。
俺は、少し黙ってからゆっくり口を開いた。
「…見たいものが、見れるから」
そう言うと、頭に「?」を浮かべて、「よく分かんないけど、見たいものが見れてるんだったらいいね」 そう言った。
行為の最中、目を開けているとどうしようもなく罪悪感に押し潰されそうになる。
「俺、なんで好きでもないやつとこんなことしてんの?」 そう思った瞬間、自分のクズさに耐えられなくなって、死にたくなるくらい苦しくなる。
でも、目を閉じると――浮かんでくる。
ちあの顔。 泣きそうな顔も、笑ってる顔も、全部。
好きでたまらなくて、その瞬間だけは、ちあを自分の思うようにできた。
現実では、いつになっても思い通りにならない。
冷たくして、自ら嫌われるような態度をとって、隣にいることが限界で。
「もうやめたい」って何度も思った。
それなのに。
「遥くん、もう一回シよ?」
「ん。いいよ」
こうして俺はまた、目を瞑っている。



