「ハルくんっ!」
「はっ?」
映画、見てた。ホラー映画。部屋、真っ暗。私の慌てる姿を見て、映画を停止。
「なに?どうした」
「ね、どうしよう、私、死んじゃうっ…!」
息を切らしながらそういうと、顔をしかめるハルくん。
「急に来てどういうつもりだよ」
「教えて、ハルくん。ハルくん、恋愛経験豊富でしょ?ドキドキって!ずっと!」
ハルくんは、一瞬目を見開いて俯いた。
ちょっと、落ち着こう。ハルくんも困ってる。
息を整えるけど、まだドキドキしてる。大変。
そういえば、ハルくんのお部屋に女の子いない。
玄関にも、靴なかった。 それにホッとする。
「……なに、急に走ってきて」
ハルくんが、少し眉をひそめて言う。
「だって……心臓が止まらないの。助けてほしくて」
言葉が途切れ途切れになる。
ハルくん、どうしたらいい?私、こんなの知らない。荻原くんに出会ってから、調子が狂う。ずっと、おかしい気がする。
「荻原くん、かっこよくてね。隣にいるだけでドキドキするの。どうやったら緊張しなくなるかな?」
そう言った瞬間、ハルくんの顔が一瞬で冷え切った。
なにか、まずいことを言ったんだと思う。
朝の、優しいハルくんはもういなくて。
なにがいけなかったのか分からず、私はこのあと起きることを後悔するはめになる。



