「千秋ちゃん、今日髪かわいいね」
サラッと、私の髪を撫でる。これで、二度目。昨日も、触られた。
荻原くん、距離の詰め方がうまいの。全然嫌じゃなくて、むしろいい意味でドキドキしてる気がする。
「…私、ほんとに経験ないの」
「ん?うん」
「だってね、髪触られるだけでドキドキするもん」
「はは、正直だね」
正直。隠しごと、できないから。だって、ほんとにドキドキする。
さっきは撫でてただけの髪を、今度はクルクルって。「綺麗だねー」なんて、おまけ付き。
ケーキとコーヒーが届いて、嬉しそうな荻原くん。 荻原くんも、顔に出るタイプだと思う。
一口、レアチーズを口に入れる。爽やか。レモンの香り。甘ったるくない、これが好き。甘さ控えめ。
「千秋ちゃん、ブラック飲むんだね」
「甘いの、苦手なの。意外?」
「うん。意外。そこも、いい」
また、訳の分からないことを言うんだなぁ。
「…そういえば、私、荻原くんの匂い苦手」
「急に悪口言うじゃん。甘いの苦手だもんね」
「ん。爽やかな、柔軟剤がいいの」
どっかの誰かさん、みたいな。
今頃、女の子といるのかな。
あ、また。脳が侵略してきた。
くだらない話をしながら食べきって、店をあとにした。
お会計までもスマートだった。 素晴らしいね、チャラ原。



