いつもとは違うハルくんに戸惑い。ハルくん、中学生のときに戻ったみたい。私に冷たい態度をとる前。
なぜか、ぎゅっと胸が苦しい。
その胸の苦しさに気付かないふりをして、教室へ入る。
「遅くない?俺の方が早かったんだけど」
「…なんでいるの?」
漫画を読む紗里衣ちゃんの隣。田口くんの席に、荻原くん。
…なんで? しかも、早い。職員室行ってたんじゃなかったの?
じとっと荻原くんを見ると、すぐに「職員室、嘘」って。この男!
しかも、そこの席、私の特等席なんですけど。 紗里衣ちゃんの隣。田口くんの席だけどね。
「もう、荻原くんどいてよっ」
「酷い。昨日、キスした仲なのに」
「はっ?」
ちょっと、なんてこと言うの? 紗里衣ちゃん、びっくりしてるじゃん。
教室に人が少なくてよかったよ。
荻原くんを睨む。精一杯ね。
「キスしてないでしょ。変なこと言わないで」
「はは」
もう、やだ、この人。やっぱり苦手。苦手!
それに、紗里衣ちゃんはなんでガッカリしてるの。
「千秋、私さ、幼なじみ以外の男のこともっと知った方がいいと思ってるよ」
急に真剣。読んでた少年漫画を片付けてる紗里衣ちゃん。今日も、少女漫画じゃないんだ。
紗里衣ちゃんの手元から、目に視線をずらす。真剣な目。
「…男友達、少ないけどいるもん」
多分、そういうことじゃないよね。 紗里衣ちゃんが言いたいこと。



