「昨日、仲良くなったんだよね~」
そう言って、軽いノリで肩を組んでくる。
「やめてよっ」
そんで、重いっ。
ハルくんの顔見て? すっごい不機嫌。
さっきまで機嫌よかったのに…。
「一緒に教室まで行こって言いたいところだけど、職員室に用あるんだった」
そういって、嵐のように去っていく荻原くん。
ほんと、変。気が狂う。
ハルくんをチラッと見ると、超不機嫌。
でも、私の視線に気づいて、優しい目をした。
久しぶりに見たその目に、思わずドキッとする。
ずっと、冷たくて鋭い目だったから。
「あいつと、仲良いんだ?」
「あいつって…荻原くんだよ、ハルくん。昨日、知り合ったばっかり」
「へー」
興味なさそうな返事。
なんで聞いたの。
「昨日知り合った割に、距離近かったけど?」
一瞬、声色が変わった気がした。
怒ってるときの声、に聞こえた。
恐る恐る顔を見るけど、普通。
気の、せい?
「…荻原くん、私に恋を教えてくれるらしい」
ぽつり。言わなくてもいいことを、また。
正直者だから、嘘とかもつけないの。ハルくん相手なら、尚更。嘘も、隠し事もできない。
ハルくんは、ほんの一瞬だけ目を細めた。でも、すぐにいつもの無表情に戻る。
「付き合うの?」
「付き合わないよ。また、いい加減にしろって言われるし。私自身、もう、そういうことしたくないの」
ハルくん、また「へー」って。
自分から聞いてきたくせに、興味なさそう。
なんなの。
「じゃ、また」 なんて、いつもは言わないセリフをつけて、手をひらひらさせている。
戸惑いながらも、手を振りかえす。
“また”って。 いつも言わないのに。
ハルくん、”また”って、いつ? 今日、帰ってから? それとも明日?



