【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




「これくらい、許してよ」


「む、むり」


「じゃないと、この先何にもできないよ」



――この先?

この先って、なに?



「どう?ドキドキした?」



ドッ、ドッ、ドッ。

頬に。

頬に、触れたか触れてないか、分からないレベルのキス。

それなのに。

…なんで、こんなに。



「こんなことしてたら、ほんとに好きになるかもね」



チャラい。 チャラ男。こんなの、知らない。

漫画でも、見たことない。

こんなに、ドキドキしたことない。


ハルくんにキスされたときだって、こんなに…。



「俺、クズだけど。もし、千秋ちゃんが俺を好きになったら、彼女にしてあげる。特別」



最低。クズ。

私なんかより、何倍もクズだった。

こんな男と一緒だと思ってた私が、かわいそう。

荻原くんを好きな女の子は、きっといっぱいいる。その子たちも、かわいそう。



「私、荻原くんのことは好きにならない」


「そう?でも、今完全に佐々木のこと忘れてたよね?いい傾向じゃん」



――なんて、笑ってる。

なにが、いい傾向なんだよ。



「私、別にハルくんのこと忘れたいなんて言ってない」


「でも、そうしないと一生恋できないと思う。 ハルくんへの執着、俺に向けてみて。 そしたら、千秋ちゃんの心の整理つくと思うよ」



執着って。

もっと、良い言い方ないの?


でも、荻原くんの言う通り。

やっと、できる。

――ハルくん離れ。



「…私、何もかも初めてだから、ゆっくりで…」


「うん。クズ同士、頑張ろうね」



一緒にするな、と思いつつ。

あ、やっぱり苦手かも、なんて。


でも、荻原くんのおかげで今、笑えてる。