「でも、幼なじみくん、千秋のことは大切にしてるじゃない」
紗里衣ちゃんは、漫画から視線を外さずにそう言った。
その言葉に、私はあんぐり。口が勝手に開いてしまう。
……大切に? あの冷たい態度のどこが?
「なんだかんだ言って、毎日一緒に学校来てるんでしょ?」
紗里衣ちゃんは、漫画から少しだけ目線を外して、私の方をチラリ。
確かに、毎日一緒に登校してる。それは事実。
でも、それはただの習慣で。大切にされてるなんて、思ったことない。
「でも、ほんとそれだけだよ?大切とは程遠くないかなっ?」
いてもたってもいられず、紗里衣ちゃんの隣の席に腰を下ろす。
漫画を読みだした紗里衣ちゃんに向かって、思わず力説。
「もうずっと前から避けられてる感じがするし、お前呼ばわりだしっ… 第一、いろんな女の子連れ込んでるしっ!」
言いながら、胸の奥ではもう慣れっこになってる冷たさを思い出す。
だからこそ、余計に「大切にされてる」なんて言葉が信じられない。
どう考えても、私のことを大切にしている様子は一ミリもない。
紗里衣ちゃんは、そこで漫画をパタンと閉じて。真剣な顔で、私の方へ向き直った。



