【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




「でも、幼なじみくん、千秋のことは大切にしてるじゃない」



紗里衣ちゃんは、漫画から視線を外さずにそう言った。

その言葉に、私はあんぐり。口が勝手に開いてしまう。

……大切に? あの冷たい態度のどこが?



「なんだかんだ言って、毎日一緒に学校来てるんでしょ?」



紗里衣ちゃんは、漫画から少しだけ目線を外して、私の方をチラリ。

確かに、毎日一緒に登校してる。それは事実。

でも、それはただの習慣で。大切にされてるなんて、思ったことない。



「でも、ほんとそれだけだよ?大切とは程遠くないかなっ?」



いてもたってもいられず、紗里衣ちゃんの隣の席に腰を下ろす。

漫画を読みだした紗里衣ちゃんに向かって、思わず力説。



「もうずっと前から避けられてる感じがするし、お前呼ばわりだしっ… 第一、いろんな女の子連れ込んでるしっ!」



言いながら、胸の奥ではもう慣れっこになってる冷たさを思い出す。

だからこそ、余計に「大切にされてる」なんて言葉が信じられない。

どう考えても、私のことを大切にしている様子は一ミリもない。

紗里衣ちゃんは、そこで漫画をパタンと閉じて。真剣な顔で、私の方へ向き直った。