「千秋ちゃん、ごめんね」
「…荻原くんの言う通りだよっ…」
言葉が震える。
「ハルくんが私以外の女の子といると、イライラして、悲しくて…でも、それがなんでなのか分からないっ…」
今日初めて会った人にまで、核心を突かれて。
私の心はズタズタ。涙が止まらない。
そんな私を見て、荻原くんは心配そうに背中をさすってくれる。
さっきは「ざまあみろ」なんて思ったのに。
今は、この人の手が救いだ。
「わた、しっ…分からなくてっ…」
声が震えて、涙で言葉が途切れる。
今まで彼氏はいたけど、経験なんてひとつもない。
恋すら、したことがない。
「ハルくんとか、さりいちゃんに、好きでもない人と付き合うの、いい加減やめろって言われるけどっ…」
付き合ったら好きになれるかもって、思うじゃん。
でも、彼氏ができても――隣にいてほしいのは、ハルくん。
「いつも、振られる理由は、ハルくんだって…分かってるけど…ハルくんの隣にいることが、いちばん大事でっ…!」
みんなに「ハルくんのこと好きなの?」って聞かれるけど、そういうのじゃない。
柳くんには「大事にしてるようで大事にしてない」って言われて、「鈍感だ」って言われて。
もう、分かんない。
消えてなくなりたい。
朝はここでハルくんと喧嘩した。
放課後はここで泣き崩れてる。
絶対、明日も学校で噂になる。最悪。
子どもみたいに泣いて、多分、荻原くん困ってると思う。



