【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




「どうぞ」そう言って渡すと、私の顔を見て「あ」なんて声を出した。

なんだ、と思ったら――



「駅で、喧嘩してた人」



紗里衣ちゃん、吹き出してる。

ちょっと、やめてよ。



「あの、荻原くん。それは、失礼では?」


「痴話げんかでもしてたの?朝っぱらから?」


「違います。私たち、“普通”の幼なじみなので」



普通を強調。



「俺と、佐々木どっちがかっこいい?」


「え?」



ぐっと、急に近づいてきた荻原くん。

距離が一気に縮まって、心臓が跳ねる。

教室の空気がざわつく。

紗里衣ちゃんは口元を押さえて笑いをこらえている。



「顔には自信あるんだけど」



簡単に言えば、ハルくんの正反対の顔。

茶髪。柔らかい瞳。女の子みたいに血色のいい唇。


た、しかに。これは、自信をもっていい顔…だけど。



「ハルくんの方がかっこいい」



はっきりそういうと、驚いた顔をする荻原くん。

「私は、荻原くんかなー」なんて紗里衣ちゃん。