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「…それで、別れちゃったんだ?」
「…はい」
教室に入った瞬間、紗里衣ちゃんに言われた。
「駅前で佐々木くんが喧嘩してたって噂になってたよ」
だから、正直に全部話した。柳くんと別れたこと。その原因。ハルくんのこと、全部。
紗里衣ちゃんの隣に座って、心の中では土下座。怖い。
そろそろ、見限られるかもしれない。
友達やめるなんて言われたら、どうしよう。
「千秋、幼なじみくんにキスされて嫌じゃなかったんでしょ? 他になにか思わなかったの?」
「ほ、か?…嫌じゃなかったけど、イライラはした…」
「そうじゃなくて、ドキドキとかさ」
「そ、それはもちろんっ、初めてだったし…!」
紗里衣ちゃん、難しい顔をして悩んでる。
「どう言ったらいいかな…」
頭を抱えている紗里衣ちゃんの、真後ろ。
開いている扉から、見たことない男の子。
「そこ、田口の席だよね?」
私が今座ってる席。紗里衣ちゃんの隣、田口くんの席。
「机の中、俺の数学の教科書入ってない?裏に荻原って書いてある」
失礼します、と心の中で呟いて、机の中をごそごそ。
あった、数学の教科書。
裏を見ると、確かに――荻原。



