【2.26公開】ハルくんの、かくしごと。




私だって、言ってやりたかったよ。柳くんに、そうやって。

でも、言えなかったんだもん。

だって、無理やりなんて言いながらも、抵抗はできたはず。

急所蹴るとか、そういうの。

それに、泣いたら多分ハルくんはしなかった。

でも、それをしなかったのは私自身。

そして一番は…。

ハルくんとのキス、嫌じゃなかった。そう思っちゃったから。



「は、ハルくんは…彼女に言わないの?」


「彼女?」



なんでそこで質問返し?

ハルくん、思い出したように「あー…」って声を出して、訳の分からないことを言い出した。



「彼女いるって、あれ、嘘」


「…は?」



う、そ?



「だから、浮気したのお前だけ。 俺は、お前と違って好きじゃないやつとは付き合わない。 誠実なので」



にこって。あの、キスされたときと同じ顔。

意味…分かんない。

誠実? 嘘ついてたのに?

それに、彼女じゃないってことは、余計に酷いんじゃない?

やっぱり、クズ。



「なにそれ…そんな嘘つく必要あった? 私、ハルくんに彼女できたって聞いてっ、それでっ…」


「嘘ついた甲斐、あったわ」



少ししゃがんで、私と真っ直ぐ目線を合わせてくる。

いつ見ても、綺麗な顔。

綺麗だな、隣で拝ませてもらえて光栄――なんて、いつもは思う。

でも今は、この綺麗な顔が、憎い。