嬉しい。
両肘を扉につけているから、無防備になってるハルくんの体。
無意識に手を伸ばしていて、ハッとした。
…こういうとこ、こういうとこだ。
だめ、だめ。
今、私、たぶん、ハルくんに抱き着こうとした。
こういうのが、いけない。
15分、ただ揺られた。
ハルくんはいつも通り口を開かない。
私も、そんな気分じゃなかった。
電車が学校の最寄り駅に着いたとき、「ここ、掴まって」 ハルくんに言われるがまま、スクバの角をぎゅっと握り締めて脱出。
改札を抜けると同時に、手を離す。
私たちの距離、人一人分。
これが、普通? …だいぶ、遠い。
「お前、、別れたときあいつに何か言われた?」
「え?」
「なんて説明したの?」
「…う、浮気したって」
「…無理矢理されたって言えばよかったのに」
ポケットに手を突っ込みながら、「ほんとアホ」なんて暴言つきで。



