【完】ハルくんの、かくしごと。




ふぅ、と短めに深呼吸。



「私、怒ってるんだけど」


「へぇ」



へぇ、って、なんだそれ。

むっとした顔を見せると、なぜかハルくんも眉間に皺を寄せる。



「別れたかったんだろ。いいじゃん」



塀に預けてた体を起こしたハルくん。


あ、これは、また置いてかれそう。


そう感じて、私も体に力を入れる。

案の定、歩き出したハルくんに置いてかれないように、私も歩き出す。


絶対、絶対、言いたいこと言ってやる。



「別れたいなんて、私、言ってない気がするんだけど」



今日のハルくんは、私の歩幅に合わせてくれている。

チラッと横を見ると、険しい顔。

歩幅は合わせてくれてるのに、顔は不機嫌。



「ハルくん、幼なじみはキスなんてしないんだよ」



そう言った瞬間、ピタッと止まったハルくん。

空気が張り詰める。足音が消えて、静けさだけが残る。

ハルくんの横顔。

眉間に皺が寄って、目が鋭くなる。