【完】ハルくんの、かくしごと。




朝。ハルくんの家の前。

レンガの塀に寄りかかったり、少し離れてみたり。

ポン、ポン、ポン。



「……。」



三日前、柳くんと別れた。

原因は、どう考えてもハルくん。

と、言いたいところだけど、私にも十分ある。

私のファーストキス。あっさり奪われた。しかも、彼氏じゃなく、ハルくんに。


ポン、ポン。

背中が離れたところで、ガチャっと玄関の扉があいた音。

ひょこっと顔を覗かせると、驚いた顔。間抜け。



「…なんでいんの?」


ボソッと呟いた声、しっかり聞こえてる。

“なんでいんの?”

ハルくん、君が一番分かってるでしょ。



「…ハルくんのせいで、柳くんと別れたんだから」



そう言うと、ハルくんの目が少し泳ぐ。

視線が定まらないまま、私の方へ向かってくる。



「だったら、余計なんでいるのか分かんないんだけど」



ハルくんは体の左側をレンガの塀にトンっと預ける。

腕を組んで、不思議そうに私を見つめる。


その綺麗な目を見て、思い出してしまう。

ばか、思い出すな。


あの日のこと。強引に近づいてきた顔。逃げられなかった距離。そして、唇。

思い出すたびに、胸がぎゅっとなる。

怒りと、戸惑いと、少しの熱。