【完】ハルくんの、かくしごと。




『…櫻井、どうしたの?』

「…あのね、いつもハルくんが理由で振られるって話したの覚えてる…?」

『ん?うん』



傷つけたくないって思うなら、きっとハルくんと一緒にいることは諦めて、 柳くんを優先すべきなんだ。

ほんとは。

でも、私にはそれがどうしてもできない。

ハルくんの隣にいない選択肢なんて、ありえない。



「…柳くん、ごめん。明日行けない」



柳くん、無言。スマホから何も聞こえない。

緊張で心臓がうるさい。



『…えっと、それは佐々木と何かあったってこと?』

「…う、うん」



声が震える。

柳くん、電話越しにため息。

怖い。でも私が悪いからね。

どれだけでも怒られる準備はできてる。


ぎゅっと目を瞑って、柳くんの言葉を待つ。



『…俺、できる限りのことは許せるって言ったじゃん? 佐々木と仲良いのは知ってるし。 手繋いで電車乗ってるのもいつも見てたし。でも、それ以上に俺でも許せなさそうなことなの?』



私よりも震えてる柳くんの声が聞こえる。少しうわずってる。

もしかしたら、泣いてるのかもしれない。