意を決して、通話ボタンを押す。
「…もしもし」
『起きてた?なかなかかかってこないから、俺からかけちゃった』
あぁ、ごめん。柳くん。
『明日、どうする?いける?』
「…。」
言わないと。
ハルくんにキスされたのって。だから、別れてくださいって。
まんまと、ハルくんの思い通りだ。
黙っとけばいいのかもしれない。
でも、私にそんな根性ないことをハルくんはよく分かってる。
隠し通せるはずがないの。顔に全部出るから。
柳くんの声はいつも通り優しい。
それなのに、私の心臓は落ち着かない。
電話口の向こうにいるのは柳くんなのに、 頭の中に浮かぶのはハルくんの顔。
冷たい目。熱い目。そして、唇の残る感触。
「柳くん、あのね…」
なんて言えばいいんだろう。
傷つけたくないって言いながら、結局傷つけてる。
もうずっと最初から。
そもそも、“断れないから”とか “付き合ったら好きになれるかも”とか、そんな理由で付き合っちゃだめなんだ。
分かってたのに。
分かってたのに、私はそうしてしまった。



