野いちご源氏物語 四五 橋姫(はしひめ)

春のうららかな日、(みや)様はお池の水鳥(みずどり)をご覧になっている。
仲むつまじく()かんで鳴きあっているのをうらやましく思いながら、姫君(ひめぎみ)たちに楽器をお教えなさる。
まだお小さい体でそれぞれ()かれるのを、宮様は気の毒にも(いと)しくもお思いになる。
「あなたたちは母君(ははぎみ)に捨てられた水鳥の子どものようだね。この先どうやって生きていくのか心配だ」
涙をぬぐいながらおっしゃった。

お美しい宮様でいらっしゃる。
ここ何年かの修行(しゅぎょう)でやせてしまわれたのが、かえって気品を引き立てている。
質素(しっそ)な身なりをなさっているけれど、ご立派さはそんなことでは(かす)まない。