野いちご源氏物語 四五 橋姫(はしひめ)

ご再婚なさればよいのに、と思った?
そう、ふつうはそうなさるものなの。
でも(はち)(みや)様はすっかり人生に絶望(ぜつぼう)なさっているから、
<思いどおりに出家(しゅっけ)できなくて(くや)しいというのに、再婚など出家とは正反対の道ではないか。今さら(ひと)()みの人生に戻ろうとは思わない>
と、僧侶(そうりょ)のような生活をなさっている。

「そのように頑固(がんこ)におなりにならなくても。奥様とお別れになった悲しみに(しず)んでおられるのでしょうが、月日が()てばお悲しみは(うす)れてまいります。やはりふつうの道をお選びになった方がよろしゅうございます。そうなさればお屋敷のなかも自然と整って、もとのご生活に戻られましょう」
お仕えしつづけている人のなかには、こんなふうに差し出がましいことを申し上げる人もいる。
ご再婚相手のご実家からの支援(しえん)を期待して言うのだけれど、宮様はお聞き入れにならない。