野いちご源氏物語 四五 橋姫(はしひめ)

<やはり私は両親の(あやま)ちで生まれた子だったのだ。しかもその生々しい証拠(しょうこ)を、母宮(ははみや)のご存じないところで手に入れてしまった>
お心にどんよりとしたものが()まっていく。
参内(さんだい)しなければと思ってもお体が動かない。

母宮様のお部屋へお上がりになると、宮様は少女のような幼いご様子でお(きょう)を読んでいらっしゃった。
女性はお経を読むべきではないと一般的に思われているから、恥ずかしがってお隠しになる。
<私が真実を知ってしまったことを、絶対に母宮に気づかれてはいけない>
ご自分のお胸ひとつに収めようと(かおる)(きみ)は決心なさる。