「まだ聞いていたいけれど、つづきは改めて静かなときに話しておくれ。小侍従と呼ばれていた母宮の乳母子のことは私も聞いたことがある。たしか私が幼いころに胸の病気で亡くなったとか。それにしても、こうして本当の父君のお話が聞けてよかった。知らないままだったら親不孝の重い罪になるところだった」
「どうぞお受け取りくださいませ。『いよいよ死にそうだ』とおっしゃって、大切なお手紙をすべて私にお預けなさったのです」
薫の君はさりげなく袋を取って、お着物のなかにお隠しになった。
<大丈夫だろうか。年寄りは聞かれもしない昔話を勝手にするものだというから、この調子で他の人にもべらべらと話してしまうのではないか>
と不安になる一方で、
<いや、他人には漏らさないと何度も誓っていたのだから信用してよいだろう>
とも迷って、思い乱れなさる。
「どうぞお受け取りくださいませ。『いよいよ死にそうだ』とおっしゃって、大切なお手紙をすべて私にお預けなさったのです」
薫の君はさりげなく袋を取って、お着物のなかにお隠しになった。
<大丈夫だろうか。年寄りは聞かれもしない昔話を勝手にするものだというから、この調子で他の人にもべらべらと話してしまうのではないか>
と不安になる一方で、
<いや、他人には漏らさないと何度も誓っていたのだから信用してよいだろう>
とも迷って、思い乱れなさる。



