野いちご源氏物語 四五 橋姫(はしひめ)

お屋敷はさすがに広くて立派よ。
池や小山(こやま)などの配置は昔のままだけれど、ひどく荒れていく一方なのを、(みや)様はぼんやりと(なが)めていらっしゃる。
てきぱきと事務仕事をする役人がいないから、人を(やと)ってお庭の手入れをさせることもない。
雑草が青々と(しげ)って、屋根にまで()(もの)(がお)では()えひろがっているの。

花や紅葉(もみじ)をひとりでご覧になってもおもしろくない。
正妻(せいさい)と一緒にご覧になっていたからこそ、美しい景色が気晴らしになったのよね。
お客様がいらっしゃることもないから、宮様は仏様の飾りつけだけを熱心にして、一日中仏教の修行(しゅぎょう)をなさっていた。