明け方近くなったころ、薫の君は前回の宇治での朝を思い出された。
さりげなく音楽の話題を出してから、
「そういえば、この間こちらにお伺いした際、姫君たちの演奏が少しだけ聞こえたのです。めずらしい音色でしたがどのような楽器なのでしょうか。あれからずっと気になっております」
とお尋ねになった。
八の宮様は単純な音楽のお誘いと受け取られる。
「出家した者に音楽はふさわしくありませんから、昔に習ったことも忘れてしまいましたが」
とおっしゃりながら、琴をお取り寄せになった。
「ひとりで弾くのは不安ですから、さぁ、あなたも」
と、薫の君に琵琶をおすすめになる。
薫の君は少し弾いて、すぐにお手を止められた。
「先日お聞きした琵琶と同じ楽器だとは思えません。もっとすばらしい音色でしたのに。楽器がよいのだろうと思っておりましたが、姫君の演奏がお上手だったのですね」
「いやいや、とんでもない。こんな山奥で育った姫に、あなたにほめていただくような技術はありませんよ」
八の宮様は苦笑して琴をお弾きになる。
もともと名人でいらっしゃる上に、山から吹き下ろす風が音色を引き立てているの。
それでも宮様は思い出しながら弾くようなふりをなさって、一曲だけでおやめになってしまった。
さりげなく音楽の話題を出してから、
「そういえば、この間こちらにお伺いした際、姫君たちの演奏が少しだけ聞こえたのです。めずらしい音色でしたがどのような楽器なのでしょうか。あれからずっと気になっております」
とお尋ねになった。
八の宮様は単純な音楽のお誘いと受け取られる。
「出家した者に音楽はふさわしくありませんから、昔に習ったことも忘れてしまいましたが」
とおっしゃりながら、琴をお取り寄せになった。
「ひとりで弾くのは不安ですから、さぁ、あなたも」
と、薫の君に琵琶をおすすめになる。
薫の君は少し弾いて、すぐにお手を止められた。
「先日お聞きした琵琶と同じ楽器だとは思えません。もっとすばらしい音色でしたのに。楽器がよいのだろうと思っておりましたが、姫君の演奏がお上手だったのですね」
「いやいや、とんでもない。こんな山奥で育った姫に、あなたにほめていただくような技術はありませんよ」
八の宮様は苦笑して琴をお弾きになる。
もともと名人でいらっしゃる上に、山から吹き下ろす風が音色を引き立てているの。
それでも宮様は思い出しながら弾くようなふりをなさって、一曲だけでおやめになってしまった。



