十月になってしばらくすると、薫の君は宇治を訪問なさった。
「漁の見物がおもしろい季節でございます」とおすすめした家来たちもいたけれど、薫の君はそういうものがお好きではない。
「はかない魚が漁師に捕まるところを見ても楽しくない。無力な魚を自分と重ねてしまうではないか」
いつものようにこっそりとお出かけになる。
ご身分に似合わない質素な乗り物にお乗りになって、お着物は地味に仕立てたものをお召しになっている。
八の宮様は待ちかねていらっしゃって、およろこびになる。
地元の食材を使ったお料理で風情あるおもてなしをなさった。
日が暮れると、灯りを近くに寄せて仏教の書物をご覧になる。
お招きになった山寺の阿闍梨に、書物の内容の深い部分を解説させなさる。
八の宮様も薫の君も真剣に聞き入っていらっしゃる。
少しも眠くなどおなりにならない。
荒々しい風で木の葉が散る音が聞こえる。
川音も恐ろしいほどで、心細い雰囲気の山荘なの。
「漁の見物がおもしろい季節でございます」とおすすめした家来たちもいたけれど、薫の君はそういうものがお好きではない。
「はかない魚が漁師に捕まるところを見ても楽しくない。無力な魚を自分と重ねてしまうではないか」
いつものようにこっそりとお出かけになる。
ご身分に似合わない質素な乗り物にお乗りになって、お着物は地味に仕立てたものをお召しになっている。
八の宮様は待ちかねていらっしゃって、およろこびになる。
地元の食材を使ったお料理で風情あるおもてなしをなさった。
日が暮れると、灯りを近くに寄せて仏教の書物をご覧になる。
お招きになった山寺の阿闍梨に、書物の内容の深い部分を解説させなさる。
八の宮様も薫の君も真剣に聞き入っていらっしゃる。
少しも眠くなどおなりにならない。
荒々しい風で木の葉が散る音が聞こえる。
川音も恐ろしいほどで、心細い雰囲気の山荘なの。



