次女の姫君を女房たちは縁起の悪いお子だと思っている。
「奥様がお亡くなりになったときのことを思い出してしまうわ」
などとつぶやいて、熱心にお世話しようともしない。
でも宮様は違う。
亡くなる直前、ご正妻は朦朧としながらも、
「この子を私の形見とお思いください。かわいそうな子と思ってやってください」
と、ただそれだけを宮様にお願いなさった。
ご正妻を早くに亡くされたことはたしかにお悲しいけれど、
<あれが寿命だったのだ。死の直前まで次女をかわいそうに思って、心配していたのだから>
と、この姫君を愛おしくお思いになる。
お顔立ちなどが本当にお美しい姫君なのよ。
姫君がおふたりだから、まぎらわしいわね。
ご長女の姫君を「大君」、ご次女の姫君は「中君」とお呼びいたしましょう。
大君はたしなみ深く落ち着いたご性格で、見た目やお振舞いも気高い。
いかにも貴族らしいという点では、中君以上でいらっしゃる。
宮様はご姉妹どちらもそれぞれ大切になさっていたけれど、なにぶん世間知らずの親王様だから、経済面が豊かとは言いがたい。
年月が経つほどお屋敷のなかは寂しくなっていく。
お仕えしていた人たちは、自分の暮らしが不安になって奉公先を変えてしまう。
女房たちもどんどんよそのお屋敷に移っていって、ついに中君の乳母まで、幼い主人を捨てて出て行ってしまったの。
ご正妻のご病気の騒ぎのなかで選ばれた乳母だから、もともとしっかりとした人ではなかったのよね。
それからは宮様ご自身で中君をお育てになっていた。
「奥様がお亡くなりになったときのことを思い出してしまうわ」
などとつぶやいて、熱心にお世話しようともしない。
でも宮様は違う。
亡くなる直前、ご正妻は朦朧としながらも、
「この子を私の形見とお思いください。かわいそうな子と思ってやってください」
と、ただそれだけを宮様にお願いなさった。
ご正妻を早くに亡くされたことはたしかにお悲しいけれど、
<あれが寿命だったのだ。死の直前まで次女をかわいそうに思って、心配していたのだから>
と、この姫君を愛おしくお思いになる。
お顔立ちなどが本当にお美しい姫君なのよ。
姫君がおふたりだから、まぎらわしいわね。
ご長女の姫君を「大君」、ご次女の姫君は「中君」とお呼びいたしましょう。
大君はたしなみ深く落ち着いたご性格で、見た目やお振舞いも気高い。
いかにも貴族らしいという点では、中君以上でいらっしゃる。
宮様はご姉妹どちらもそれぞれ大切になさっていたけれど、なにぶん世間知らずの親王様だから、経済面が豊かとは言いがたい。
年月が経つほどお屋敷のなかは寂しくなっていく。
お仕えしていた人たちは、自分の暮らしが不安になって奉公先を変えてしまう。
女房たちもどんどんよそのお屋敷に移っていって、ついに中君の乳母まで、幼い主人を捨てて出て行ってしまったの。
ご正妻のご病気の騒ぎのなかで選ばれた乳母だから、もともとしっかりとした人ではなかったのよね。
それからは宮様ご自身で中君をお育てになっていた。



